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2021-11-18

精製方法って何?知ると面白いコーヒーの味わいを決めるプロセス。


ー 精製方法って何?

コーヒー豆はコーヒーの木になるコーヒーチェリーという赤い果実の種子です。「豆」と言ってますが、実は「種子」なんですね。

この熟したコーヒーチェリーから”どのように種子であるコーヒー豆を取り出して乾燥させるのか”という、この過程のことを精製方法(生産処理)と言います。

コーヒーの味はこの精製方法によって大きく変わります。昨今では農園でも発酵技術が進み、とても複雑な精製方法が生み出されています。

少し難しく感じるかもしれませんが、理解できるとぐんとコーヒー選びの幅が広がり楽しめますので、ついて来てくださいね。

まずはオーソドックスな3つの方法です。

1.ウォッシュトプロセス

スペシャルティコーヒーでは最も一般的な精製方法です。

パルパーという機械でコーヒーチェリーの外皮と果肉を剥がします。するとミューシレージというヌメヌメ成分(粘着質)が付いたパーチメント(種子)になります。これを発酵槽にて水に浸け(12~24時間)、自然発酵によってミューシレージが剥がれ、その後水で洗い流すとフリーウォッシュトと呼ばれる精製方法になります。

この過程で、水に浮いたチェリーや豆は未熟豆・加熟豆・虫食いなど欠点豆が含まれるため取り除きます。

味わいの特徴は、綺麗なクリーンカップ、生き生きとした明るい酸味、繊細なフレーバーに仕上がります。

2.ナチュラルプロセス

収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日乾燥し、その後、脱穀をして種子を取り出します。果肉の甘みが種子に移ると言われます。

乾燥にスペースを必要としますので、低地で広大なスペースが取れる農園が多いブラジルや、水資源を必要としないという観点でエチオピアやイエメンで伝統的に行われてきた精製方法です。

また乾燥に時間がかかることと選別の見分けが難しいため、品質が良くないというイメージがありましたが、昨今ではその問題点も改善されとてもクリアーな味わいで素晴らしい品質のナチュラルも作られるようになりました。

味わいの特徴は、ナチュラル特有の芳醇な甘い果実味があります。この印象的なフレーバーの虜になるコーヒーファンも多いと思います。

3.ハニープロセス/パルプ ド ナチュラル

先に説明した、「ウォッシュト」と「ナチュラル」のいいとこ取りのプロセスです。

ウォッシュト同様、パルパーにて外皮と果肉を剥がします。その後、ミューシレージが付いたパーチメントの状態で、水洗いせずに乾燥させます。

そうする事によって、ミューシレージのほのかな果実味が種子に移り、程よい甘さとコク、爽やかな果実味のある味わいに仕上がります。

ブラジルでは「パルプドナチュラル」と呼び、コスタリカなど中米では「ハニープロセス」と呼びます。

ハニープロセスにおいては、ミューシレージを何%残して乾燥させるかで、ブラックハニー(100%)レッドハニー(50~70%ほど)イエローハニー(20~30%ほど)ホワイトハニー(10%ほど)と表現されます。

味わいもブラックハニーほどナチュラルに近い風味、ホワイトハニーほどウォッシュトに近い風味があります。

以上の3つが、オーソドックスな精製方法になります。

この後は少しマニアックな精製方法もご紹介します。

4.アナエロビコ/アナエロビックファーメンテーション(嫌気性発酵)

収穫したコーヒーチェリーを密閉式タンクに入れます。また、別ロットの生産処理で出た果肉なども一緒の密閉式タンクに入れます。酸素のない嫌気性条件下でしか活動しない微生物によりメタン発酵が進みます。

何日発酵させるのか、どのロットと組み合わせるのかなど、管理が難しくリスクも伴います。

味わいは、シナモンやバナナと表現されたり、ラム酒やレーズンと言った芳醇で強烈な印象のコーヒーに仕上がります。

5.カーボニックマセレーション

アナエロビコ 同様のプロセスで行い、密閉式タンクの中に窒素や二酸化炭素を充填する方法です。

6.ゴールドウォッシュプロセス

アナエロビコ プロセスで出た果肉から果汁を取り出し、その果汁にパーチメント(種子)を漬け込み嫌気性発酵させます。その後、水洗いして乾燥させます。果汁がゴールドに見えることから名前がつきました。

味わいは、マンゴージュースのようなトロピカルな風味になります。

もう、ここまで来ると、どの要素が味に影響しているかわかりにくくなりますね。それもまた面白いところでもあります。

生産国では、生産処理で出る汚水が環境に良くないとされることから、日々努力を重ね新しい精製方法が誕生してきています。

そうした努力も意識しながら、精製方法に注目して豆を選んでみてはいかがですか。

ー まとめ

・精製方法(生産処理)とは「果実から種子を取り出して乾燥させる」工程をいう。

・ウォッシュトプロセス「毎日楽しみるクリーンな味わい。」

・ナチュラルプロセス「果実味溢れる芳醇な味わい」

・ハニープロセス「程よいコクとフルーティな味わい」

・アナエロビコ など発酵プロセス「インパクトのあるコーヒー体験」

是非、精製方法に注目してコーヒーを味わってみて下さい。


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